マラケシュ暮らし2015年
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マラケシュの私立小学校のお勉強事情。

うちには、8歳(三年生)と5歳(年長さん)の子供が居ます。
モロッコで子育てというと、何となくのびのび、ほんわかしたイメージを抱かれる事が多いのですが、現実は、かなりイメージと違います。

まず、これはどこかに書いた気がしますが、モロッコでは公立と私立のレベルの差がものすごいので、大学まで行かせたいと思う親は、かなり切り詰めてでも幼稚園年中から私立に入れます。

  • ほとんどの私立小学校には年中、年長の幼稚園が付属していて、幼稚園から入っておかないと入学が難しい。そのまま高校まで行ける学校も多い。
  • 1999年のモロッコの私立小学校入学率は4%だったのが2015年には15%に上昇。地方には私立小学校は無いので、ラバト、カサブランカ、マラケシュ、フェズなどの都市部の私立率はかなり高い。
  • Le Mondeの記事に寄れば、モロッコ政府は学校教育の民営化を進めており、私立率は今後も上昇する予定だとのこと。
  • 私立小学校の学費は500DH〜3000DH/月諸費用別

年中で私立に入るためには、3歳の時点で入学申し込みをしなくてはなりませんが、簡単な行動観察テストがあり、そのテストはフランス語で行なわれます。また、「現時点でフランス語で教育を行なっている私立幼稚園に通っている事」が受験の条件だったりします。

  • 3歳で、簡単なフランス語の指示が理解でき、親から離れて行動できないとアウト
  • 公立から私立に途中で転入する事は、学習内容が異なりすぎるためほぼ不可能

 

入学後・・・

一年目(年中)は、学校に慣れるための期間と言う位置づけで、歌ったりお絵描きしたり割と遊び中心ですが、二年目(年中)からはお勉強が始まります。アラビア語やフランス語のアルファベットの読み書き、簡単な算数等。宿題も週に一回から二回出ます。

小学校に上がると、一年生から中間・期末テストがあります。

モロッコは10点満点式なのですが、全教科の平均で10点中、6.5点以下を取ると、まずは親が呼び出され、「このままだと危ない」と言われ、放課後に補習を受けさせる事になり、それでも学年末までに6.5以上取れない場合は、一年生から「お子さんには当校は合いません。お子さんにふさわしい学校へどうぞ」と言われ、退学させられるのだそうです。

それも、特に珍しい話ではなく、一クラス30人中、5人位退学になる事もあるのだとか。

モロッコは今、子供の数がものすごく多い上に、私立の数が足りていない状況なので、何人退学させても、入学希望者は幾らでも居ます。また、日本であれば退学になっても公立に行くという選択肢がありますが、モロッコは最初に書いた様に私立と公立の学習内容の差があまりにも大きいため、選択肢になり得ません。

テストの内容が凄く簡単な訳でもなく、娘の二学期のテスト結果を聞いたところ、最高点の子で8.9で、9以上は居なかったそう。上位五位までは、皆の前で名前を発表され、下位の「危ない子」たちも名前を読み上げられ注意されるのだとか。
マラケシュでは最近「塾ビジネス」が始まりつつあるのですが、親が忙しかったり、教えられない場合は家庭教師を雇う事は一般的です。

また、二年生くらいから英語塾に通い始める子供も多く、アラビア語、フランス語、英語の読み書き、会話ができる子供は珍しくありません。(学校では、第一外国語として、3年生又は4年生から学習し始めます。フランス語とアラビア語は公用語なので、メインの言語として学習します。)ハーフの子供は、親の母国語も習得している事が多く、例えばイタリア人とのハーフの子供は、フランス語、アラビア語、英語、イタリア語を自由に使いこなします。なんだかスーパー小学生という感じですが、娘の周りではよくある感じです。

ある小二のクラスには、壁に

「パイロット」

「飛行機」

「電車」

「バス」

の絵が描かれていて、そこに成績順に子供達の顔写真が張ってあるのだそうです。

成績トップの子はパイロット、上位は飛行機、普通は電車、下位はバス、徒歩に転落=退学だとか。

娘の成績表を見ると、

アラビア語(フスハー)

イスラム教

フランス語

算数

理科

がそれぞれ同じ比率で評価されます。

スポーツ、音楽、アート、コンピューター、ベルベル語の授業もありますが、評価には含まれません。

うちは何となく、フランス語と算数が良くできればそれでいいかなと思っていたのですが、アラビア語もイスラム教もしっかりやらせないと、平均点が下がり内申点に響くので、気をつけた方がいいと、ママ友に注意されてしまいました・・・・
フランス語とアラビア語のテストは5種類位あるのですが、イスラム教、算数、理科のテストは一種類のみなので、この三種類の成績をしっかり押さえると平均点が上がりやすい、私がアラビア語とイスラム教を教えられないので、家庭教師を今の週一からせめて二、三回に増やした方が良いとも。

娘は毎日30分〜一時間ピアノを練習しているというと、たまに本気で心配されます。「お勉強の方は大丈夫?」と。
複数の言語(それも全く関連性の無い)を、小さいうちから身につけられるのはモロッコの教育の良いところだと思いますが、

のびのび、ほんわかとは別世界なマラケシュのリアルな学校事情でした・・・

2 Comments

  1. ぺんだ says

    宮本さん、楽しく拝見しております。
    現在、マグレブ諸国に住んでいるのですが、モロッコ方言のアラビア語は正統アラビア語と大きく違い、モロッコでしか通じず、実際、アラビニストがモロッコに旅行で行っても、正統アラビア語が通じない場面が多かったという話を聞きました。
    また同僚でもモロッコ人がいるのですが、正統アラビア語で会話をしても半分以上話が通じないと聞きます。
    学校の授業の「アラビア語」は正統アラビア語なのでしょうか。それともモロッコ方言なのでしょうか。
    またモロッコ内で、正統アラビア語を話せる事は、必要なのでしょうか。(自身は全くアラビア語が話せないので、モロッコ方言と正統アラビア語の違いは分かりません)

    • Kaori Miyamoto says

      こんにちは。コメントありがとうございます。
      モロッコでは、教育及びテレビのニュースキャスターなどはフスハー(正則アラビア語)ですが、普段の生活の中で使われるのはダリジャ(アラビア語モロッコ方言)です。
      子供が行っている学校では授業はフスハー&フランス語、子供同士の会話はダリジャやフランス語が使われます。
      最近では、教育を受けている人が増えていますが、今の大人の中には学校に行けなかった人も多かったので、彼らにはフスハーは通じません。

      フスハーは、書き言葉として重要です。
      コーランをはじめとしたアラビア語の印刷物はすべてフスハーで書かれています。(ダリジャは口語のため、書き言葉としては一般的には使われません。フランス語のアルファベットと数字を組み合わせた独特の書き方でダリジャを書き言葉として表す事はありますが、これは携帯メッセージなどから生まれた新しい書き言葉です)

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