子供時代に食べた野菜の味が忘れられない〜 Vegan restaurant Kopps / Ilhami

ベルリン・ミッテ。ベルリンでは最も知られた高級ビーガンレストランの一つKoppsのオーナー、イルハム・ティルジ氏をインタビューして来た。 Koppsに食事に行った時の記事はこちら。 インタビュー申し込みメールへの返信の署名にトルコ系の名前を見て、正直驚いた。私の中でのトルコ人、トルコ系の人々は肉をたくさん食べる人たちで、ビーガンとトルコがうまく結びつかなかった。 「私の両親は、1960年代にトルコからドイツに来ました。私は南ドイツ、シュトゥットガルト近郊の小さな街で生まれました。17歳から3年間、ホテルマンになるための学校に行き、15世紀の城を改築した美しいホテルで働きました」 第二次世界大戦後のドイツには、各国からたくさんの出稼ぎ労働者がドイツにやってきて、復興の手助けをした。1961年にトルコとの間に協定が結ばれると、多くのトルコ人が海を渡り、その多くはドイツに根を下ろした。イルハム・ティルジ氏は、ガストアルバイターの二世。一世である親の多くは、家庭ではトルコ語を話し、トルコ人社会の中で生きる人が多いが、二世以降はドイツで生まれたドイツ人で、学校ではドイツ語、家庭ではトルコ語を話す。     「24歳の時俳優になりたくてベルリンに出て来ました。3年間、演技の勉強をして、小さな劇場で働き始めましたが、私の顔は、人々が期待するステレオタイプのトルコ人の顔でもなければ、ドイツ人でもないので、良い役を得ることが難しかったので、ほとんど無職のようなものでした。南ドイツの子供時代は差別らしい差別を経験しませんでしたが、ベルリンでは色々ありました。俳優をしながら始めたテクノパーティーのプロモーター業が軌道に乗り、プロモーターとして10年働きました」   1989年の東西ドイツが統一以降の90年代のベルリンのクラブシーンは、今よりももっと過激。予定調和など全くない、リハーサルなしの舞台のような場所だっただろう。 いまのベルリンでヨガやビーガンフードなどのリーダー格の人々は、この時代に遊び尽くした40代後半から50代が多い。彼もその一人なのかもしれない。     「2005年に、1件目のレストラン、”Boetzow Privat”をオープンしました。19世紀の建物を使った、ドイツ料理パブです。2件目を出すときに、50年後も続いているような、何か特別な要素があるレストランにしたいと思いました」 「90年代にベジタリアンを試したことがありますが、いまは少量の肉も食べます。それでも、食の持続可能性を実現するためのレストランとして、高級ビーガンレストランは面白いと思ったのです。Koppsを企画し始めたのは2009年ごろですが、ベルリンにはビーガン専門レストランはほとんどありませんでした。今では誰も彼もがビーガンだったり、ビーガンに興味を持っていますが、当時は誰も興味がなく、友人たちは反対しました。2011年にオープンしてからも経営は簡単ではなく、注目が増えうまく回るようになってきたのは本当にここ数年のことです」     ビーガン料理というと、大豆ミートを使った様々な料理が思い浮かぶが、Koppsには、大豆ミートをつかったものは見当たらない。 大豆自体も問題が多い食材だし、「肉のようなもの」をサービスするのではなく、野菜をたっぷり使ったクリエイティブなものをサービスしたいという。 「私の家族はトルコ系です。 食べ物に関する子供時代の思い出は・・・まずは年に一度の犠牲祭という祭りです。この祭りの時に、両親は羊や牛を屠ります。イスラム教の宗教的習慣なのですが、ドイツで生まれ育った私や私の兄弟にとってはトラウマになるような経験でした。私はビーガンのレストランを経営していますし、妹も弟もベジタリアンです。子供の頃の経験が影響しているのだと思います」 「野菜に関しては素晴らしい思い出があります。 私の両親は、畑を持っていて、自分たちが食べるための野菜や果物を作っていました。畑で採れたばかりのトマトはとても美味しく、良い香りがして、そのままで十分美味しかったです。外国から輸入されて来たトマトは形はきれいでも、味が薄くてどうして人々は味がないトマトを食べたがるのだろうと子供心に不思議に思っていました。庭の野菜の味は私の原点になっている気がします」 Koppsではベルリン近郊のポツダムの農場で育てられた有機野菜を使っている。 ここの野菜は、やっぱり彼の子供時代の野菜と同じような生き生きとした味と香りがするそうだ。私がいただいたお料理の野菜も、特にミニトマトの酸味とトマト本来の旨味のバランスが素晴らしく、幾つでも食べたいくらいだった。     Koppsでは、毎週火曜日の夜、Come togetherというイベントがある。 普段は一人ドリンク抜きで50ユーロ程度からの高級ダイニングだが、火曜の夜だけは25ユーロで3コースメニューを楽しめる。 Come togetherの特徴は、レストラン中央の大テーブルに、 Come together 参加者12人が一緒に座り、同じタイミングでコースメニューをいただくこと。 知らない人と一緒に食べましょう、という「共に食べる」イベントなのだ。 「Koppsは、開業以来料理のクオリティを上げ続けていて、クオリティを上げると必然的に値段も上がってしまう。ある時、ディナーには若い人が来ていないことに気がついたんです。彼らには値段が高くて払えない。だから、彼らが来れる程度の値段でディナーをサービスしたいということが一つ目の理由」 「二つ目には、色々なバックグラウンドを持つ人々に一つのテーブルに座ってもらい、一緒に食べて欲しいという意図があります。例えば、ビーガンもビーガンじゃない人も、興味がある人も、ドイツ人も外国人も、様々な年齢層の人たちがみんな一緒に集まって食事をしたらいいんじゃないかと思いました。夏は旅行者が多いから英語の会話がよく聞こえてくるし、冬はドイツ人が増えますね。ビーガンとノンビーガンの割合は半々くらい。私がレストランにいるときは、テーブルに挨拶に行きますが、お客さんに自己紹介をしてもらったり、一言話してもらったりすることもあります。飲み物は別なので、ドリンクを選びながら、知らない人同士の間に自然に会話が始まることもあれば、シャイなドイツ人同士、テーブルの端と端に座って、全く会話しないこともある」   私がCome togetherに参加した時も、最初はちょっと硬い雰囲気だったけれど、同じ鍋を囲まなくても、同じタイミングで同じ料理を食べるというだけでも親しみが湧いてきて、デザートの頃には知らない人同士、結構話が弾んでいた。 私がモロッコで長く暮らしていたためにそう感じるのかもしれないけれど、Koppsには、一見してトルコ料理やトルコ風の要素は全くないけれど、「みんなで一緒に食べる」というのがドイツというよりも、トルコとかイタリアとかギリシャとか、そういう暖かい国の人の発想だなあと思ったし、「肉を食べることがステイタスであるトルコの感覚」に反発を感じたことが持続可能性やビーガンレストランにつながって来たことがとても面白いなあと思った。モロッコ人と日本人のハーフの娘に料理の写真を見せたら、「可愛い!なんかちょっとモロッコみたい」と言っていた。   「大量の肉、大量生産の食品を使い捨てにしていくレストランビジネスは、これからは続いていくわけがないと思います。私たち全員が持続可能性についてもっと考えなくてはならないと思います。ビーガンの人も、ノンビーガンの人も、Koppsに来てこんな食べ方の可能性があるということを経験して欲しいと思います。 ここでは、自然発電の電力、バイオガスを使い、食品ももちろん地産地消のものを使っています。プラスチックは使わないようにしています。 例えばワインですが、9割のワインはドイツ産で、ほとんどはオーガニックかビオダイナミックのワインです。酸化防止剤が入ったワインは去年から扱いをやめました」 「毎日は、何を食べるか、どこからきたものを食べるかの決定で成り立っています。食べているものがどこからきていて、何を食べているのか、を意識しつつ、食べることを楽しむことが大事だと思う。私はたまに断食をしますが、断食すると食べ物の味や食べることの意味を実感することができ、食をより楽しむことができます」 Koppsに食事に行った時の記事はこちら。     旅行中は野菜不足になりがち。ビーガン、ベジタリアンの人はもちろんのこと、そうでない人も、お野菜をたっぷりいただきたい、という時にオススメ。観光地の真ん中にあり、アクセスも良い。 Come together 祝日や特別な日を除く毎週火曜日18:00から 3コースメニュー25ユーロ(飲み物別) 週末ブランチ:18ユーロ 夜のアラカルト スターター5ユーロから メイン18ユーロから デザート12ユーロから Kopps Linienstraße 94 10115 Mitte Berlin Tel.: (030) 43209775 https://www.kopps-berlin.de/en/ 営業時間: 月曜〜金曜:18:00~22:00 土曜&祝日: 9 : 30〜22 : 00 日曜日:09 : 00〜18 : 00 カードOK(通常メニューのみ。ブランチ、Come togetherは現金のみ) Come togetherは予約不可。通常のディナーは要予約。 S-Bahn Hackescher Markt から徒歩12分 U-Bahn 8 Rosenthaler Platz から徒歩4分  

やってみたら簡単だから、世界中に廃棄物ゼロレストランが広がってほしい~ Frea / David

Frea は、2019年3月にオープンしたばかりのベルリン初の「ZERO WASTE 廃棄物ゼロ」 ビーガン・レストラン。オーナーのDavidにインタビューした。     1987年、壁が崩壊する2年前の東ベルリン生まれ。もちろん、東ベルリン時代のことは何も覚えていないが、親からは常に聞かされて育った。 「レストランをオープンするまでのストーリーを聞かせてください」 「4.5年前に、イベントのためのケータリングビジネスを始めた。 ケータリングを始めて1年後には250人のイベントのために料理するようになった。JOHNNY AND THE FOODというブログをはじめ、you tube に料理についての動画をアップし、ホリスティックヘルスコーチの資格も取った。 ケータリングの仕事が軌道に乗って、月に5000ユーロは稼げるようになったんだけれど、同じことの繰り返しで快適すぎて、新しいことにチャレンジしたくなった。快適な状況は嫌いなんだ。 難しいことに挑戦して、できた時の達成感が好きなんだ。 だから、新しいことにチャレンジすることにした」     「3年前から廃棄物ゼロ・Zero wasteについて考えていて、これはチャレンジになるって思った。すでに、プラスチックを使わない暮らしを実践していたから動画に撮ってyou tubeにアップしてみたら、反応がよかったからこれはいけると思った。 Zero wasteを実践するなら、自分ひとりでするんじゃなくて、周りの人たち、友達、家族、お客さん、環境にできるだけインパクトを与えたい。そう考えて、Zero waste、地産地消、季節のものだけを使ったレストランをオープンすることを思いついた。僕にとってはZero wasteとビーガンはセットだから、レストランをやることを決めた時に禁煙・禁酒してビーガンになった」   廃棄物ゼロのレストランをオープンするまで 「仕組みを知るために、ロンドンのZero wasteレストランで10日間働いた。帰って来て企画書を書いて、2017年の10月に動画を撮って、シェフに声をかけて、年末に今のガールフレンドと出会って2018年4月には彼女と一緒にレストランを始めることにして、物件を見つけた。工事に7ヶ月かかって、2019年3月にオープンした。 開業資金を集めるために、いろいろなところに企画書を持ち込んだけれど、当時は誰も興味を持たなかったから、GFと二人、有り金を全て注ぎ込んだ。 今なら、レストランがうまくいっているという実績ができたから、もっと簡単に資金調達できるだろうけれど」   「”Zero wasteのビーガン・レストラン”というと、可能性を狭めているように聞こえるかもしれないけれど、本当はその逆だ。縛りがあるからこそ、さらにクリエイティブになれる。Zero wasteのビーガンが、ビジネスとして成り立つということを世の中に示せたことは本当に良かったと思う。もっと客単価を高くしてもいいという人もいるけれど、ランチ10ユーロ前後でカジュアルに食べられることに意味がある。持続可能な生活をしたいと思っている人はたくさんいる。彼らが “今日は家で料理したくないな” と思った時に気軽に来られるレストランにしたいんだ。 ビーガンは金持ちのものだと言う人もいるけれど、そんなことはない。やり方を知っていれば誰でも簡単に実践できるライフスタイルだ」 「レストランはとても流行っている。今日も明日もディナーに100人の予約が入っている。将来、ベルリン以外の街に店を出すかもしれない。 ベルリンにはFreaのスタイルが似合うけれど、別の街には別の街のスタイルがあるだろう」 「お客さんはの反応はとてもいい。気に入らない理由がないだろう? 店の内装は、家庭的な、実家を思い出すような場所にしたいと思った。 家具、グリーン、カトラリー、料理、照明、味、飲み物・・・全てが懐かしい感じを醸し出している。 家具も、新しいものをわざわざ用意するんじゃなくて、できるだけ持続可能なものを集めた。ebayでユーズドを探したり、天然素材のものを集めたり。例えば、このランプシェードは、マッシュルームから作られていて、いつでもコンポストにできるんだよ。面白いだろう? 全部GFと二人で選んだ」 「スタッフには、何が大事か、何を目指しているのか常に伝えるようにしている。最初の1年間は、毎日来て、店が開いている時間はずっと張り付いているつもりだ。今自分たちはオリジナルの宇宙を作り出している最中だから、ひと時も目を離さずに、ずっと見ていたいんだ。 どこから来たのかわからない材料をただ温めて混ぜて完成というレストランがたくさんあるけれど、Freaのシェフは何をしなければならないのか良く分かっている。丁寧に繊細に。ジュースとアルコール以外は全部自分たちで作っている」   「 “廃棄物ゼロ”は、ただ単に廃棄物を減らせばいいっていうだけじゃない。 廃棄物ゼロは哲学だ。もっとクリーンに、もっと環境によく、もっとサスティナブルにというメッセージだ。 食品について、本当にそれが必要か、いつ必要なのか、本当に必要なのか考える。 どこからきた食品なのか、どうやって運ばれてきたのか、どうやって育てられたのか気にして食べる。 例えば、アボカドは、環境にとても悪いから、絶対に扱わない。 アボカドが育てられているのはカリフォルニアの雨がほとんど降らない地域なのに、大量の水を必要とするから、アボカドを育てるためにパイプラインを引いて水を与えているんだ。アボカドのために。信じられないだろう?」 「やってみたら簡単だから、世界中に廃棄物ゼロレストランが広がってほしい」 野菜くずや残飯などの食品廃棄物は、全てコンポストに入れられて、24時間後には肥料になり野菜の仕入れ元の農場に返される。また、ここではプラスチック類は一切使われていない。野菜などの素材はそのまま運ばれて来る。 週替わりランチのメインは二種類から選ぶようになっている。 メニューをいろいろ用意しすぎないのも、食品廃棄物を減らすための工夫だろう。 ここにお客さんとして来た時にいただいたブロッコリー&椎茸のパスタは本当に美味しかった。ちゃんと、一つ一つの素材の味が引き立っていて、ベルリンでは珍しい歯ごたえ、食感が楽しめる味だった。 ランチ&ディナー 月曜から金曜: 12~15 週替わりランチ 火曜から土曜:18~22 ディナー 予約推奨 スターター:4ユーロから メイン:9ユーロから ランチメニュー小:13ユーロ(その週のスターター&おすすめメイン&飲み物) ランチメニュー大:16ユーロ(その週のスターター&おすすめメイン&デザート&飲み物) Frea https://www.frea.de/ Torstraße 180, 10115 Berlin Mitte   ベルリン・モロッコについての記事を書いています。 今までのお仕事リスト(日本語) Kaori Miyamoto’s writing work (En)

Kopps ベルリンで高級ビーガンレストランに行ってみる

ベルリンらしい食べ物というと、アイスバイン(豚肉の塊の煮込み)やシュニッツェル、チープ系ならビールにソーセージやケバブとこってり系が有名だけれど、私の周りには肉を大量に食べますという人はほとんどいない。 40歳以下のベルリン人には、ベジタリアンやビーガンの人が非常に多い。おしゃれで健康的で、ヨガまたはピラティスに通っていたら大抵ベジタリアンかビーガンだ。 ドイツ全体では、10%がベジタリアン、1%がビーガンだ。(2016年)ベルリンの実感としてはもっと多く、若年層ではさらに増えるだろう。 レストランがベジタリアン・ビーガン対応なのは当たり前。ビーガン専門レストランだけで50軒以上あるとか。 ベルリン中心部、ミッテに面白いビーガン専門レストランがあると聞いて行ってみた。 Come together ~みんなで同じテーブルを囲む 2011年のオープン以来、ビーガン激戦区、ベルリンでも特に注目されている高級ビーガンレストランKopps。 地産地消の厳選された素材を使った、アーティスティックな料理が食べられると評判の一軒だ。 ディナーはドリンク別で一人50ユーロ程度からなので、物価が安いベルリンの感覚では高め。記念日や誕生日に行くレストラン、というイメージだが、毎週火曜日の夜に限り、25ユーロで3コース(前菜・メイン・デザート)をいただける、Come Together というイベントが開催されている。 Come Togetherでは、大きな長テーブルに参加者のお客さんが座り、同時にサーブされるおまかせ料理を一緒に食べる。 予約不可、早いもの順ということだったので、17:45ごろに行ってみると、すでに5人程が扉の前で待っていた。1人で行っても、2人で行ってもいいけれど、3人以上だと多いかも。18:15以降は参加できない。 Come Together の年齢層は低めで、20代と30代前半。 高級ビーガンを試してみたいけれど、普通のディナーメニューは高すぎるので、このイベントに参加したという雰囲気の人が多かった。 ドリンクは別なので、メニューから選ぶ。 知らない人同士、みんなで一緒に食べようというイベント。雰囲気は、小規模のパーティーに居合わせた人同士という感じで、最初はぎこちなく会話が始まる。以前も、マラケシュで、こういうスタイルのランチに行ったことがあるのだけれど、マラケシュの場合はオーナーが真ん中に座り、会話をリードしてくれたから楽だったけれど、ここは放置。そして会話のメインはドイツ語。ドイツ人はシャイ。(マラケシュではフランス人とベルギー人だった) アミューズに続いて前菜が来た。 こんな風に美しくて繊細な味をベルリンでも食べられるんだ・・・ それもビーガン専門レストランで。 ベルリン・ビーガン事情 美味しいですね。きれいですねなんて話していたら、だんだん会話が盛り上がり、向かいに座っていた若いドイツ人のカップルと、食のスタイルについて話をした。 二人は20代後半で、来年結婚予定。結婚式で使うケータリングサービスを探して、ビーガン専門レストランを食べ歩いているらしい。 彼の方が付き合う前からビーガンで、彼女は彼の影響で食生活を変えたというので、彼にビーガンになった理由を聞いてみた。 「牛乳や牛肉の生産についてのドキュメンタリーを見たことが最初のきっかけで、自分が食べているものについて考えるようになって、その結果選んだのがビーガンというスタイルだった」 近い将来子供が欲しいという話になったので、子供が生まれたら何を食べさせるの?と聞いて見たところ、 「家ではビーガンで育てるけれど、外では好きなものを食べたらいいと思う」 という。彼女のお父さんは、動物の解体からできるシェフで、ビーガンとは正反対の生活スタイルの人。でも、たまにうっかり動物由来の調味料を使いそうになる他は、親子の食のスタイルが違っても特に問題はないそうだ。 Koppsの感想は、「とても美しくて丁寧でおいしいけれど、自分たちの結婚式に使うには高級すぎる」とのこと。「でも、みんなで食べるCome Togetherというアイデアはとても面白いね」と言っていた。 英語ができる人は、Come together に行って、ベルリナーと会話をかわしてみるのも面白いかもしれない。また、土日の16時までやっているブランチビュッフェも様々なビーガンメニューが揃っていて人気だ。素材の味がしっかり生かされたシンプルな料理から、何が原材料なのか分からない、創作料理までいろいろある。 旅行中は野菜不足になりがち。ビーガン、ベジタリアンの人はもちろんのこと、そうでない人も、お野菜をたっぷりいただきたい、という時にオススメ。観光地の真ん中にあり、アクセスも良い。   Come together 祝日や特別な日を除く毎週火曜日18:00から 3コースメニュー25ユーロ(飲み物別) 週末ブランチ:18ユーロ 夜のアラカルト スターター5ユーロから メイン18ユーロから デザート12ユーロから Kopps Linienstraße 94 10115 Mitte Berlin Tel.: (030) 43209775 https://www.kopps-berlin.de/en/   営業時間: 月曜〜金曜:18:00~22:00 土曜&祝日: 9 : 30〜22 : 00 日曜日:09 : 00〜18 : 00 カードOK(通常メニューのみ。ブランチ、Come togetherは現金のみ) Come togetherは予約不可。通常のディナーは要予約。 S-Bahn Hackescher Markt から徒歩12分 U-Bahn 8 Rosenthaler Platz から徒歩4分 ベルリン・モロッコについての記事を書いています。 今までのお仕事リスト(日本語) Kaori Miyamoto’s writing work (En)

環境に良いことをしよう…そして節約しよう!廃棄食品専門スーパーSir Plus

Sir Plusは2017年9月にベルリンで始まったスタートアップだ。 彼らは、廃棄処分予定の食品を集め、実店舗とオンラインショップで定価の20~80%引で販売している。ベルリン市内に3店舗を構え、取り扱い商品種類は400種類、1日の利用者数は1200人、従業員数70人だ。 テンペルホーフ空港跡地にある1000平米の倉庫には、メトロなどの大手スーパーマーケット、ビオ・スーパーマーケット、卸業者、生産者などから集められた25万点の食品が保管されている。創業からの2年弱で1800トンの廃棄食品を販売した。 フラッグショップのシュテーグリッツ店で創設者のラファエル・フェルマーにインタビューして来た。     ドイツの食品廃棄の現状 ドイツでは毎年1800万トン、全流通量の1/3の食品が捨てられている。(WWF) (日本は毎年2759万トン/環境庁)(*1) ドイツ連邦食品農業省ウェブサイトによれば、食品廃棄物の61%が一般家庭から、17%が飲食店から、17%がスーパーなどから出ている。(*2) 2012年の調査によれば、一人のドイツ人あたり、年間81.6キロを廃棄しており、4人家族であれば、食品廃棄による金銭的損失は年間940ユーロに登る。     食品廃棄の理由は様々で、賞味期限切れ、形が悪いから、値崩れ防止、過剰生産、パッケージに傷がついたから、前日のパン、茶色くなったバナナなど・・・。フランスやチェコではスーパーマーケットによる食品廃棄が禁止され、コンポストやホームレス支援などに利用されるようになっているが、今のところドイツにはそのような法律はなく、WWFから批判されている。     環境に良いことをしよう…そして節約しよう! Sir Plus のキャッチフレーズは”Schone die Umwelt…und spare dabei Geld!”。日本語に訳すと「環境に良いことをしよう…そして節約しよう!」。 フラッグショップがあるシュテーグリッツは、ベルリン西部の高級住宅地だ。 お店は地域のメインステーションから徒歩2分の大通り沿いの好立地、私が到着した時も何組ものお客さんが入店していた。 “環境のことを考えています、食に関して常に考えています。ビーガンです”という雰囲気の人ばかりかと思いきや、店内で買い物を楽しんでいるのは、通りを歩いている人々の構成そのままだった。老若男女、豊かそうな人から、そうでもない雰囲気の人まで。痩せている人も太っている人も、いろいろな人が混じっている。   (できるだけお客さんを写さないようにしたので、空っぽに見えるが、実際はたくさんのお客さんが買い物を楽しんでいた) ベルリンのスーパーでは珍しい光景だ。 例えば、私の住まいの近所のショッピングモールにはスーパーが4つ入っている。 高級・品質重視系・激安系・ビオ系・トルコ系の四店だ。 最初に見たときは、スーパーばかり軒を並べてどうするのだろう?と思ったけれど、はっきりと利用者層が分かれるので、それぞれに需要がある。 ビオスーパーで買い物をする人は、激安系には足を踏み入れないし、その逆もない。 Sir Plus の店内には、お店のスローガン通りの「環境に良いことをしよう…そして節約しよう!」 な人もいれば、「節約しようと思ったら、いつのまにか環境に貢献していた」という人もいそうだ。 もちろん、Sir Plusを利用することが環境問題を考えるきっかけになってくれたら嬉しいけれど、本来捨てられるはずだった食品を購入することで環境に貢献しているわけだから、どんな人も歓迎する。一度利用してみれば、 Sir Plus の食品が、まだまだ食べられるものだということがわかるし、これから“賞味期限切れ”で何かを捨てようと思った時に、少し考えてもらえれば、それだけでも大きな変化だ。 ”これはダメ、あれもダメ。世界にはこんな悪いことが起こっている、地球は無茶苦茶だ” というネガティブな方向からではなく、“今日も廃棄食品を救った。良いことをした、美味しく食べた”というポジティブな方向から食品レスキューを展開して行きたい。   賞味期限と消費期限 450平米の広い店内は、温かみのある楽しい雰囲気で装飾されている。 予想通り、有機栽培の野菜やビーガン向けの食品もあったが、DOVEの石鹸、M&M、ハーシーズのチョコレートなどのマスプロダクトもあった。冷蔵庫にはヨーグルトや生パスタ、チーズなどが並ぶが、これらは週に5回、大手スーパーマーケットのメトロ各店から引き取ってくるものだ。広い店内には、様々な食品、飲み物、生活用品が並び、これらの全てが廃棄される予定だったことを想像し驚いたが、彼らの倉庫には、実に25万点の商品が保管されているという。   (M&Mには、定価2.99ユーロが1.95ユーロ。35%引き。賞味期限は2019年5月2日であると書かれている) 廃棄食品をレスキューすることに意味がある。当然のことながら、ビーガン食品よりも一般食品の方が量が多く、一般食品をレスキューすることは、それだけ環境に対して意味があるから、どちらも扱うことにしている。Sir plusは大手既存スーパーマーケットの敵ではなく、彼らと助け合い共存していきたいと思っている。   商品紹介には、値段とそれぞれの「賞味期限」が明記されている。 「賞味期限切れ」の商品を扱っているのだから当然のことながら、一ヶ月前、二ヶ月前に期限が切れている商品が堂々と並べられている光景は衝撃だった。 買い物客たちは、じっくり説明を読んで、割引率を見て、「賞味期限とは何か」という説明ポップも読んでカゴに入れている。     賞味期限とは何か? EUの規定によれば、「適切に保存されていた場合、味、見た目、品質が基準以上であること」 メーカーは安全をとって賞味期限を短めに設定するため、実際は賞味期限切れでもほとんどの食品が食べられる。 販売する場合ははっきりとそれを消費者に伝える義務があるだけで販売自体は合法だ。 賞味期限内の食品の品質についてはメーカーが責任を持つが、賞味期限切れの後は、販売者の判断・責任になるため、そのリスクを負いたくない販売者は廃棄してしまうことが多い。 WWFは、消費者の選択肢が増えるよう、賞味期限ではなく、生産年月日を記載することを求めている。 また、ドイツ連邦食品農業省は、一般消費者が混同しがちな「賞味期限」と「消費期限」の違いを消費者に教育する必要があるとしている。 消費期限は、肉などの「この日以降は食べてはならない」という日付だ。   自分の五感を信じること 消費期限がある商品は、消費期限前に食べるようにするとして、賞味期限切れの商品の本当の「消費期限」はいつのなのだろう。 若いドイツ人は、賞味期限を一日でも過ぎていたら、簡単に捨ててしまう。まだ食べられるかどうか匂いを嗅いでみることすらしない」 「私たちの祖父母の世代には賞味期限などなかった。みんな、それが食べられるのかどうか自分の感覚を信じて食べていたし、その能力があった。 例えば賞味期限を少し過ぎた食品を機械的に捨てるのではなくて、その食品が生産されるためにどれだけのエネルギーが使われたのか、立ち止まって考えてみる。その上で食べるか、捨てるか判断する。 味見をしたり、匂いをかいだりして、自分の五感を信じるという当たり前のことを取り戻したい。   これからの五年間 最後に、これからの五年間で何をしたいか聞いて見た。 廃棄食品をレスキューするということが特別なことではなく、一般的な普通のことになってほしいから、ベルリンの外や他のEU諸国にもフランチャイズや直営店を増やしていきたい。現在そのためのクラウドファウンディングを行なっている。また、生産者と直接繋がって、流通に乗る前に廃棄されていた形の悪い野菜などを使い自社ブランドの食品を作りたい。 インタビューがほぼ終わり、雑談をしていたら、ラファエルが「食べるということはエモーショナルなことだ」と言った。それはどういう意味なのかと聞くと、 ドイツ語のLebensmittelという言葉は、単に「食品」を指す言葉だけれど、Lebenというのは”生きる、人生、命”という意味で、もう少し哲学的な意味がある。 誰かと何かを食べること。 美味しさに感動すること。 誰かのために料理をすること。 食べたもので私たちの体ができていること。 特に都市には、自分だけの力で孤独に生きていると感じている人もいるけれど、私たちは、食べ物とつながりあって、食べ物に助けられて生きている。 人間が自然を助けるのではなく、自然が人間を助けている。 だから、食べるものをリスペクトして、何を食べているか、意識しながら生きることはとても大切なことだと思う。   私は肉も卵も魚も食べる雑食で、うっかり食べ物をダメにしてしまうこともけっこうある。賞味期限についても深く考えたことがなかった。 環境運動家と話をしていると、あまりにも真面目・真剣すぎて気後れしてしまうことも多いのだけれど、Sir Plusにはありとあらゆる雰囲気の人がいて、気軽に利用できるところが良いと思った。 インタビュー当日は、その後の予定があり買い物できなかったが、今度改めて買い物に行ってみよう。環境と節約のために…または節約と環境のために。     *2:ゴミの量の統計の問題 正確な数字を算出することが難しいため、政府、WWFなど引用元により異なる。例えば非可食部(バナナの皮など)を統計に含むかどうか、は統計により異なる。また、生産者によって流通前に廃棄される食品は、統計に含まれないので実際の量はさらに増えると推定されている。 *1:日本の食品廃棄物 「平成28年度の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計結果を公表しましたので、お知らせします。食品廃棄物等は約2,759万トン、このうち、本来食べられるにも関わらず捨てられた食品ロスは約643万トンと推計されました」(環境庁HPより) 参考: WWF/Studie Bundeslaender und Lebensmittelverschwendung https://www.zugutfuerdietonne.de/ 環境省_我が国の食品廃棄物等及び食品ロスの発生量の推計値(平成28年)    

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