ベーシックな食材をクリエイティブに料理したい~Anat / restaurant Beba

前にオーナーのインタビューを掲載したイスラエル料理レストランBeba。
仕事で追加の写真が必要になったので、今度はシェフにインタビューしてきました。

 


 

「私の名前はAnat。イスラエル出身で、4年前にベルリンに来ました。ここに来た時は、ヨーロッパの素晴らしいレストランの素晴らしいキッチンで働く夢を持っていました。大きな町の偉大なシェフから何か素晴らしいことを学べると期待して来ました」

「実際に大きなレストランで働き始めたのですが、正直言って、なんと言えばいいのでしょう?少しがっかりしました。
ベルリンのドイツ料理は、オールドファッションで、遅れているというか・・・あまりクリエイティブとは言えなくて。
私は高級レストランにはあまり興味がないんです。世界中から取り寄せた超高級食材を使った100ユーロとか150ユーロとかの料理には興味がありません。
そういう料理を作って食べてもらうことがまともなことだと思えなくて。
シェフとしては変な考えですよね。でも、私はベーシックな食材をクリエイティブに料理して、誰もが食べられる価格の食べ物を作りたいんです。
発酵させたり、ピクルスにしたり、ゆっくり長時間料理したり、スパイスを使ったり、組み合わせを考えたり。美味しい料理を作るための可能性は無限にあります」

最初のレストラン

「料理、食べることの基本は家族から学びました。小さい時からキッチンを手伝うことが大好きで、17歳でカフェのキッチンで働き始め、いくつかのレストランで働いたあと、22歳で小さなレストランを、小さいけれど自分のレストランをレホヴォトにオープンしました。
レストランの周りには工場がたくさんあって、毎日のランチにはお腹をすかせた人たちがたくさんやってきました。
彼らが求めるのは、シンプルで美味しくて、お腹がしっかり満たされるものです。イスラエルは、世界中から移住してきた人たちでできた国なので、食の選択肢も多く、味にうるさい人も多く、このレストランでの経験から学ぶことはたくさんありました」

ベルリンでイスラエル料理を作る

「ベルリンに来てから2年ほど、大きなレストランで働きましたが、あまり刺激がなかったので、自分で仕事をするべきだと思いプライベートシェフになりました。ベルリンには大きなユダヤ系のコミュニティーがあって、彼らのイベントやパーティーのために料理をしました。私が作るのはイスラエル料理で、お客さんはユダヤ系なのですが、でもドイツで暮らしているから、イスラエルのイスラエル料理そのままでもダメなんです。
どんな風にアレンジすると、イスラエル料理がドイツで受け入れられるか、色々工夫しました」

「Bebaのオーナーのシャニと知り合った時は、彼女は自分のレストランをオープンするための場所を探していました。いくつか一緒にイベントを手がけて、色々な意味で相性が良いことがわかったんです。同じ味、同じ感覚、同じものの見方を持っていることに気がつきました。その後、美術館の中のレストランの話が来て、一緒にプレゼンテーションをして・・・・始まりました」

Infarmの野菜

「シェフにとって、infarm の野菜やハーブと働くことは特別なことです。
普通、こんな新鮮な野菜を手に入れるチャンスはありません。
私にとってはすっかり普通のことになってしまいましたが、普通のシェフは、何日か前に収穫した、ビニールに入った野菜やハーブを受け取って料理します。
私たちは、ゲストに出す数分前に根から切り取ったばかりの野菜を料理します。
今、私たちのところには21種類のハーブや野菜がありますが、この中には、普通はなかなか手に入らない、珍しいハーブもあります。からし菜やわさび菜のような日本の味を楽しめるハーブも育てていますし、イスラエル料理には欠かせないマウンテン・コリアンダーもあります。一般的なコリアンダーよりも味や香りもとても強くて、仕上がりが全然違うんです。
いつも同じものを育てているのではなく、infarmと協力し合いながら、お客さんが好むもの、私たちが使いたいもの、ここの環境に合うもの、合わないもの…を入れ替えています」

持続可能な食について

「食品廃棄物ゼロですと言いたいけれど、残念ながらゼロではありません。
でも、例えばオレンジジュースを作った後のオレンジの皮でオレンジピールやママレードを作るなど、クリエイティブに考え工夫して、できる限り廃棄物を出さないようにしています。ベルリンに来て、大きなレストランで働いていた時も、周りの人たちの環境意識は他の国に比べると高かったと思います。プラスチック、紙、生ごみを分けるという基本的なことだって、出来ていない国はたくさんありますから。
ただ、問題はレストラン業界の利益システムというのは非常に複雑で、経済的にギリギリのレストランも多いんです。食品廃棄物をできるだけ出さない料理には余分の時間がかかります。時間がかかるということは、余分の人件費、費用がかかるということなので、もっと工夫したいと思っていても、現実問題としてなかなか難しいということだと思います。ドイツの人件費はとても高いですから。
だから、私たちのチャレンジ・・・廃棄物をできるだけ出さないようにする。普通に食べてもあまり美味しくない食材を工夫して料理する。そういうことができていることを誇りに思います」

オレンジのサラダ

「撮影用に、私が一番気に入っているサラダを作りますね。
野菜は・・・その時の気分でいい野菜をミックスして、オレンジ、グレープフルーツ、チェリートマト、ラディッシュ。トップには鶏の胸肉を60度の低温でスロークッキングしたものを香りを出すために一瞬炙ったものを載せます。
オリーブオイル、オレンジジュース、レバノンのデイツシロップと塩胡椒の軽めのソースと最後にオレンジピール、チリ&塩とカラメライズしたウォールナッツを載せて完成」

「デイツソースは、イスラエルでは一般的に使われます。
私は白砂糖の代わりによく使います。少し高いけれど、味が良いから。このソースはレバノンのものだと思います。
イスラエル料理には中東風のフレーバーをたくさん使うし、ベルリンではアラブ人の業者から購入することも多いです。
私の父はモロッコで生まれて、5歳でイスラエルに移住しました。
私のモロッコのルーツは、ほとんど意識しませんが、でも私が作る料理にはモロッコの影響があります。毎週月曜日には、一からクスクスを作って出しています。平日の昼は、近所のオフィスで働く人たちがたくさん来るのですが、彼らは軽いサラダじゃなくてしっかりしたものを食べたがるので、日替わりランチを出しています。例えば今日のランチは、サーモンをタイムと塩レモンで料理したものですが、サーモンはとてもヨーロッパらしい食材で、タイムと塩レモンは、エスニックな食材で・・・それが出会ってとても素敵な味になるんですよ」

Anatは昔、イスラエルにある和食店で働いていた。
その時から和包丁を使い始めたと、彼女専用の包丁を見せてくれた。ピカピカに研がれたよく切れそうな包丁。
「この包丁と、ハチマキ、それからキッチンの掃除の仕方について学んだことは私の財産です」

繊細さと強さを併せ持つ彼女の料理はやっぱり繊細で、でも弱々しくない。
それぞれの素材の味が引き立っていて、一口食べるごとに体が喜ぶ、そんな料理だ。実は彼女は10ヶ月の赤ちゃんの母親でもある。
赤ちゃんを育てながら、レストランのオープニングシェフになる。
想像しただけで気が遠くなりそうだけれど、タフさや真剣さとともに仕事を楽しんでいる楽しさが生き生きと伝わってきて楽しいインタビューだった。
「おいしいご飯は、仕事を楽しんでいるスタッフから生まれるの」
キッチンに二時間ほど居たけれど、とても楽しそうに、かつプロフェッショナルに働いているスタッフたちが印象的だった。

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