BAUHAUS100周年 1 バウハウス・デッサウ校舎の学生寮に泊まる

観光客として、ある建物を見に行く。 自分で見て回るにしても、ガイドツアーに参加するにしても、歩いて、立ち止まって解説を聞いて、写真を撮って、ちょっと眺めて納得して、また歩き始める。 5分も立ち止まれば長い方だ。 昔から行って見たかったあの場所に行った。 という思い出と、写真が残る。 もちろん、それは素敵なことだけれど、建物というのは、本来、ある一定の時間滞在するための入れ物だ。 学生ならその建物に毎日通って学んだり人と触れ合ったりするための場所。 誰かの家であれば、そこには毎日の営みや子供達の成長、喜怒哀楽があったはず。 解説には、その建物が何年にどんなスタイルで建てられ、誰が暮らしていたのか書いてあるけれど、5分の滞在時間では、それを読むことはできても、暮らしを実感することは難しい。 デッサウのバウハウス校舎に行ってみたいと思い、検索していたら昔の寮に泊まった人の記事を見つけた。 私が暮らすベルリンからデッサウまでは電車で1時間20分ほど。日帰りで行くつもりだったけれど、バウハウスの寮で暮らすという経験をしたくて泊まることにした。 バウハウス学生寮(Prellerhaus)を予約する メールまたはフォームで問い合わせるようにとHPに書かれていたので、希望日を書いたメールを送ると、翌日「残念ながら一杯ですが、近所のホテルを推薦します」という返信がきた。 「今回の宿泊の目的は、学生寮に泊まることなので、7月後半の空き状況を教えてください」 「7月後半のダブルルームはほぼ満室。7月*日のみ空きがあります」 「ありがとうございます。では、その日に伺いますので予約確定してください」 というやり取りの後、予約確認書PDFが送られてきた。 支払いは現地、クレジットカードの確認などはなかった。   夏休み中なので9歳の息子と12歳の娘、私の3人だ。 「どんなところに行くの?泊まるの?」 「100年近く前に建てられた学校の寮」 「・・・・そこってきれいなの?」 「行ったことがないから分からないけれど、きっと素敵なところよ。昔のデザイナーや建築家の卵、学生が暮らしていたところなんだって。でもシャワーやトイレ、テレビはないらしいから、UNOでも持って行こう」 「トイレがお部屋にないの?合宿で行ったみたいなホステルなの?」 「ちょっと違うけれど、とりあえず行ってみよう。行って見たらわかるから」   バウハウスって何? 「20世紀初頭に始まった芸術と技術の融合、モダン建築の・・・」 と言葉で説明することも、いろいろ読むこともできるけれど、芸術と技術の融合って何?と考え始めるととてもむずかしい。 でも、実際に行って学生寮の部屋に落ち着いて、窓を開けたり閉めたりして、窓開閉のシステムや窓枠の重さを体で経験すると、少しだけわかる。 ベルリンからデッサウまで電車に乗り、駅から学校まで歩くと、本当に何もない田舎に、バウハウスが現れた時の周りの人々の驚きや感動が少しだけわかる。 ベッドにゴロンと転がって、壁一面の窓の中で雲が流れて行く様子、刻々と変わる空の色を見たり、風を感じたりすると、もう少しだけわかる。 カーテンを開け放しにして東から昇る朝日で目覚めるという、昔の学生達と同じ経験をしてみると、さらに少しだけわかる。 当時の学生が暮らした寮に泊まり、バウハウス的なものだけに囲まれて、一日だけ彼らと同じような暮らしを経験する。 こんな贅沢な経験で得られること、感じられることは、文章で読むことの何倍も大きい。   プレラーハウスと呼ばれるこの寮には28部屋あり、ドイツで最初の学生寮だった。1ヶ月の家賃は20ライヒスマルク。はっきりとは分からないけれど、現代の価値にして1万円くらいだろうか。 学生と若手の先生たちが暮らしていた。最盛期には、200人の学生がいたので、この寮で暮らせるのは優秀な選ばれた学生のみ。 当時の部屋にはバウハウスデザインのベッド、クローゼット、バルコニーがあり、各フロアには共同キッチン、シャワー、トイレがあり、地下には学食とジムがあった。 寮が完成した1926年という時代を考えてみよう。日本の昭和元年。1929年の世界恐慌の直前。ココ・シャネルの時代、華麗なるギャツビーの時代だ。 私たちが泊まった部屋は、白と窓枠の黒のモノトーンのお部屋だったけれど、実際に寮として使われていた頃は、壁に絵が描かれていたり、実験的な家具が置かれていたり、それぞれ個性的な部屋だったのではないか・・・と想像する。(モダン建築のイメージがモノトーンになったのは、昔はカラー写真が珍しく、ましてや実際に訪問することも珍しかったからという話をどこかで読んだ)     翌日、あっという間にベルリンに到着。 いつもは何とも思わない駅からの道がごちゃごちゃして見える。 「すごく楽しかった。また行きたい。今度は一週間くらい居たい」と娘。 「あら、一週間も居たいの?」 「だってなんか気持ちよかったじゃない?スッキリきれいで。おうち帰ったら模様替えしようよ」 「うん。僕も好きだからまた行こう。蜂が多かったけど」と息子。 「そうねえ、もうすぐ美術館オープンするみたいだから」 「でも、人がいっぱいだと嫌だから、美術館がオープンする前に行きたいなあ」と娘。 なんか気持ちよかった。 よくわかる。 写真でみると、単なる白い箱なのに、その空間に滞在してみると、自然の中にいるような心地よさを感じる。 夕方、ツアー客などが居なくなり、静かになった学校を歩いてみた。 少し落ちてきた太陽が白い壁に色をつけ、ガラスに模様をつける。 シンプルなのだけれど、自然の暖かさがそのまま伝わってくるのが面白い。 この建物を作ったヴァルター・グロピウスは、空が大好きだったのだろうなあ。光の入り方とか、影の入り方とか、完璧に計算され尽くされている、自然。       宿泊情報 シングルルーム16室 40~45ユーロ ダブルルーム6室 60~65ユーロ リコンストラクトルーム(シングル)50~55ユーロ エキストラベッド10ユーロ。 朝食別。 チェックイン&アウト: チェックイン14:00・チェックアウト10:30 チェックインは、インフォメーションデスクで。 チェックアウト(鍵の返却)は、ビストロで。 設備: リノベーションされているけれど、基本は昔の学生寮。 各階に共同キッチン、トイレ、シャワーあり。(トイレ、シャワーは最近改築されたらしくきれい) エレベーターなし。 お部屋には、タオル、ベッドリネン、毛布、洗面台、デスク、ベッド、バルコニーあり。他に必要なものがある場合は持参すること。 地下にロッカールームがあるので、チェックイン前後の荷物を預けられる。(1ユーロ。1ユーロコインのみ) ミニバーはない。各フロア共同キッチンに小さな冷蔵庫や電気ケトルがあるので、冷たい飲み物やお茶を持参しよう。学校内、近くには選択肢があまりないので、ベルリンまたはデッサウの駅で買っていくことをオススメする。 レストラン&カフェ: カフェ・ビストロ 月〜土曜 8時から24時 朝は朝食メニューあり。昼は簡単なサンドイッチなどと飲み物のみ。 夜はパスタ、サラダなどあり。カード使用は20ユーロ以上から。 日曜:8時から18時 食堂(昔の学食) 毎日:11時から15時 ホテルではないので、サービス業的な雰囲気はない。 「世界遺産に泊まらせてもらう」と言う気持ちで多少の不便は我慢。 何か問題が起こった時は、営業時間内(10〜17時)にインフォメーションデスクで相談する。 ベルリンからのアクセス: 最寄り駅:デッサウ中央駅(Dessau central station)から徒歩8分 ベルリン中央駅からはレギオナルエクスプレス(快速電車)RE7で一本。 乗車時間は1時間38分。一時間、二時間に一本しか走っていないので事前に時間確認のこと。 チケットはオンラインでも、駅の券売機、発券センターでも購入できる。 片道27ユーロ。

公共フェリー。ベルリンの夏

本日も最高気温は36度。 ヨーロッパの個人宅のエアコン普及率は5%だか6%だかとニュースになっていますが、もちろん我が家にもありません。 ベルリンの緯度は52度。北海道のさらに北にあるため、冬の寒さは問題になっても、夏の暑さは問題にならないはずの街だったのです。 でも、越してきてから三年目の夏ですが、毎夏“猛暑”と大騒ぎされているような・・・一昨年の夏は、猛暑日にうっかりガラス張りのイタリアンレストランに入ってしまい、ピザ釜からの熱とガラス張りの温室効果でグダグダになりながらピザを食べたし、去年は酷暑の東京から戻ってきたら、ベルリンはベルリンで暑く、扇風機が売り切れて手に入らないという悲惨な思い出があります。 今日もパソコンが熱を持って仕事にならないので、退屈している息子を連れてヴァンゼーへ。ヴァンゼーは、西ベルリンにある湖の名前です。 ヴァンゼーには湖水浴場もあるのですが、前に泳いだことのある娘によると、あまり綺麗ではないということなのでパス。 乗り物好きの息子と一緒にフェリーに乗ってきました。 ベルリンには、公共のフェリー路線が6本あり、今日利用したのはその一つ。 S Wannsee からAlt-Kladowを20分で結びます。 朝6時から夜8時まで、一時間に一本、毎時00分に出発します。 チケットは、ベルリンAB期間チケットが利用でき、ウェルカムカード、一日券も使えます。 乗船時のチェックはありませんが、乗船中に確認に回ってくるので、すぐに出せる様にしておきましょう。 湖面にはヨットやボートが浮かんでいました。 ベルリンでは、「趣味はボート、趣味はヨット」という人が結構いるのですが、私が聞いたことがあるのは全て男性。女性でボートを持っていますという人にはまだ会ったことがありません。 今日見かけたヨット&ボートも全員男性が操縦していました。 ヴァンゼーの岸にもたくさん停泊中でしたが、ヨット。 車と違って完全な趣味。 それも夏の間しか使えません。 もっと小さな湖で見かける、上質のゴムボートで良いんじゃ・・・? と思いますが、男のロマンなのでしょうか。 ちなみに、グリルボートというのを見かけました。 ベルリナーの友達によれば、名前そのまま。 ボートの上でバーベキュー&ビールを楽しむためのボートです。 6人くらい乗れるので、みんなで割り勘で楽しむのだとか。 ベルリン人はバーベキューが大好きなのですが、ほとんどの公園で禁止されており、どこで楽しむのかと思いきや、ボート・・・。 それは楽しそうです。 でも、操縦士がつくわけでもないので、みんなで楽しく酔っ払ってどこかに漂流していってしまいそうですが、海ではないので問題ないのでしょう・・・ そんなことを考えながら湖面を眺めて居たら、20分の船旅はあっという間に終わってしまいました。夏のベルリンには、遊覧船からカヌーまで、様々な乗り物がありますが、この公共フェリーもちょっとした船旅気分を味わえるのでオススメです。

ベルリン・天使の詩の女神、ヴィクトリアに会いに行こう

ベルリンの中心部にティア・ガルテンという名前の広大な公園がある。 その昔王侯貴族が狩を楽しんだという、210ヘクタールの広大な緑の中に、映画、ベルリン・天使の詩の、あの金色の女神の塔がある。 私は高いところが苦手なのだけれど、せっかくベルリンに暮らしているのだから、あの女神を近くで見てみたい。高いところといっても、たかが67メートル。300メートルのエッフェル塔にも登ったのだし、きっと大丈夫。と言い聞かせて行ってきた。 そもそも、戦勝記念塔のあの女神は誰? 女神の名前はヴィクトリア。古代ローマ神話に出てくる勝利の女神で、ギリシャ神話の勝利の女神ニケ(NIKE)と同じ。スポーツ用品のナイキの名前はニケから来ている。ブランデンブルグ門の上で戦車に乗っているのも、ヴィクトリアだ。 ヴィクトリアは、高さ8.3メートル、重さ35トンのブロンズ製。金メッキが施されている。 1864年、当時のプロイセン王国が、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン戦争 でデンマークに勝利したことを記念して、建設が始まり1873年に完成した。建設中に独墺戦争、独仏戦争が起こり、それらの戦争にも勝利したため、三つの戦勝を記念する塔となった。 元々は、国会議事堂前広場に建てられていたが、1930年代ナチスの“世界首都ゲルマニア計画”の一環で、現在の場所に移された。 第二次世界大戦後、フランスは「独仏戦争の勝利を記念する塔」の破壊を主張したが、アメリカとイギリスの反対により、そのまま残された。 戦争末期には、ドイツ兵が塔の中に立てこもって戦ったため、跡が多数残っている。 2008年 大統領選中のバラク・オバマが20万人を前にスピーチした場所としても知られている。 https://www.spiegel.de/video/video-33480.html   戦勝記念塔に登ってみたら 螺旋階段を登り始めるとすぐに一つ目の見晴台に出る。 ここは、おそらく2階か3階くらいの高さ。床に座ってくつろいでいる観光客もいて、気持ち良い空間。   塔の高さは69メートルで、二つ目の展望台は50メートルのところにある。 285段を登り続けると、螺旋階段はだんだん狭くなっていく。 当然のことながら、降りてくる人も同じ階段を使うから、本当にギリギリな感じ。狭すぎる。 とりあえず頑張って見晴台に出て、ヴィクトリアを間近で見たい。そう思って登り続ける。   展望台に出て見たら、展望台は思っていたよりもずっと狭かった。 その上、外側に向かって少し傾いている気がする。 そんなわけないと思うけれど、19世紀の建物だし、移転されているし、本当に傾いているのかも。 ヴィクトリアは・・・・と思って上を向いてみると、巨大すぎて一部しか見えない。 ベルリン・天使の詩で、主役のブルーノ・ガンツがヴィクトリアの顔の隣に座る有名なシーンがあるけれど、羽しか見えない。   そんなことを思ってキョロキョロしていたら、いきなりクラクラしてきた。 展望台からみるティア・ガルテンの眺めは素晴らしいけれど、もう限界。 頭クラクラ、足ガクガクで狭い螺旋階段を降りる。 iphoneによれば、18階分の階段を上ったらしい。 戦勝記念塔にチャレンジする人は、足腰をしっかり鍛えて行ってください。 アクセス:ベルリン動物園駅からアレクサンダープラッツを結ぶ便利な路線バス、100番のGroßer Stern (Berlin)駅下車。目の前。 お天気が良ければティア・ガルテンの中を歩いても気持ちいい。 ベルリン動物園駅及びブランデンブルグ門からそれぞれ約2キロ。徒歩約30分。公園内には、電動自転車や電動キックボードで移動している人も多い。 戦勝記念塔は、環状交差点の真ん中に立っている。記念塔につながるトンネルがいくつかあるので、絶対に地上を渡らないこと。 入場料:大人3ユーロ 学生・子供など2.5ユーロ(現金のみ) Straße des 17. Juni/ Großer Stern 10785 Berlin 入場可能時間: 4月〜10月 平日9:30〜18:30 土日祝日 9:30~19:00 11月〜3月 平日9:30〜17:30 土日祝日 9:30~17:30 12/24休業 ベルリン・天使の詩(1987年 西独/仏) 監督:ヴィム・ヴェンダース ブルーノ・ガンツ ソルヴェーグ・ドマルタン オットー・ザンダー クルト・ボイス ピーター・フォーク (ドイツ語版のみ購入・レンタル可能)

Caprivi / 雨の日もビアガーデン / ベルリンの夏の過ごし方

「川ぞいに素敵なビアガーデンがあるから行こう」 「でも・・・小雨降っているよ。」 「大丈夫。大きなパラソルがあるから!」 いや、気温20度、小雨、空はグレーとは言わないけれど、あまり晴れてないのにビアガーデン?という意味だったのだけれど、ローコンテクスト文化のドイツでは何事もきちんと説明しないと伝わりません。 面倒なので、小雨の中、シュプレー川沿いのビアガーデンに行ってきました。 こんな天気でビアガーデンに来る人なんて私達くらいでは・・・と思って行きましたが、そこそこ入っていました。 晴れた日はものすごく混み合うの?と友人に聞いてみたところ、かんかん照りの日は暑いからそんなに混まない。とのこと。 いや、暑いからビールじゃないのかと思うのですが、面倒なのでとりあえず飲んで食べます。 ビールは同じサイズのソフトドリンクよりも安いけれど、ベルリナー的にはちょっと高めの3.80ユーロ。ソーセージ、ポテトサラダなどの軽食あり。しかし何故どこに行ってもポテトサラダなのか・・・ 雨が止んで少し太陽が出て来ると、やっとビアガーデンらしい雰囲気になってきました。水辺でのんびり。 ベルリンとポテトサラダの関係は、今はどうでも良いです。美味しかったし。 ローカルで全然おしゃれじゃないけれど、西ベルリンらしい良い場所でした。 U Richard-Wagner-Platz (Berlin)から徒歩5分。 目の前にはシュプレー川クルーズ発着所があります。 ミッテから船に乗ってシャルロッテンブルクまできて、お城を見てからビアガーデン、というのもいいかも。 Berliner Kindl Jubiläums Pilsener 0.3L 2.60ユーロ 0.5L 3.80ユーロ ソフトドリンク 0.3L 2.80ユーロ 月曜から土曜:12時から 日祝日:10時から 4月1日から10月31日まで http://www.caprivi-berlin.com/ Am Spreebord, 10589 Berlin

U Richard-Wagner-Platz (Berlin)

リヒャルトワーグナープラッツ  U Richard-Wagner-Platz (Berlin) シャルロッテンブルグ宮殿/市庁舎の近くにあるということを除けば、特記することもない駅だけれど、駅のデザインすごい。現在の駅は、ベルリンの多数の地下鉄駅をデザインしたライナー G.リュムラー(Rainer G.Rümmler)により、ワーグナーの歌劇をイメージして設計された。   駅の入り口。青地にUは、地下鉄を意味するマーク。誰が書いたんだろう。。。? エスカレーターの足元にはもちろん落書き。 ドイツは、工業製品のデザインがいいけれど、駅のデザインも素敵なところが多い。 この赤の使い方・・・。  

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