ドイツ青少年音楽コンクール 地区予選&授賞式コンサート

娘がドイツ青少年音楽コンクール・ベルリン中央地区予選に出場しました。

<ドイツ青少年音楽コンクール>

2月に地区予選&受賞コンサート

3月に地域本選&受賞コンサート

4月に全国本選&受賞コンサート


  • 様々な楽器部門が、それぞれの楽器について3年に一回開催される。
  • 参加費は無料
  • 趣味の子も、プロを目指す子も出てくる。音楽系のギムナジウム(中学高校)、大学に進みたい場合、このコンクールの結果が非常に重要という噂…
  • カテゴリーは2歳刻み。カテゴリー1の部(9歳まで)は地区予選までで終了。カテゴリー2の部(10歳、11歳)は、地域本選までで終了。地区予選、地域本選、全国本選のそれぞれの部の優勝者による受賞者コンサートがある。受賞者コンサートの会場は豪華で、ベルリン芸大のホールやコンチェルトハウスなど・・・・。
  • 25点満点で、23点以上が次に進める。
  • ベルリンの場合、北部、中央(ミッテ)、南部の三つに分かれていて、中央の受験者が一番多い。娘が出たのはベルリン中央。
  • ベルリン中央、カテゴリー2(10歳、11歳)の今年の受験者数は29人。予選通過は8人。(ベルリン全体では、受験者数は57人。通過は19人)
  • 曲は、各時代の曲を2曲以上組み合わせて6分以上10分以内に収めること。
  • バロック、古典、ロマン、現代の4曲弾いた子供が多かったけれど、2曲の子もいれば5曲の子も居た。楽譜が出版されている事という決まりはないので自作曲を弾いた子が居た。
  • 曲の難易度は、かなり簡単なものから、ショパン練習曲や難しめのバッハまでかなり幅があったけれど、ソナチネアルバム&インベンションレベルが弾ければ十分。
  • バッハ(及び古典)の上手い下手の差が激しかった。ロマン派の曲は、それなりにみんなそれなりに聴かせる。
  • 申し込みはHPから。一度だけ正式な手紙が来る他は全てメール。
  • 曲目変更は、一ヶ月前までメールで可能。弾く順番の変更は、その場で本人が口頭で言えば可能。
  • 演奏時間の30分前までには到着すること。試弾できると思うからと先生に言われ一時間前に到着。実際に弾くピアノ(スタインウェイ)の試弾5分、まるまる一時間練習室を与えられた。(グランド&アップライトあり。部屋によりアップライトのみの場合も)
  • 本番は録音録画禁止


 

当日のスケジュール:

10:30 会場到着、受付、練習室入り、すぐに試弾、練習。

11:50 本番

お昼休憩。

13:30 審査員の先生からの講評(点数はまだ。感触はわかる)

15:00〜18:00午後の部
18:00〜 午後の部の子供達の講評

19:55〜 結果発表(殆どの子供が来ていた)

全て終わって帰宅したのは、21時頃。

会場は、音楽学校が入っているこの建物。外観はお城のようですが・・・

中はやっぱりベルリンでした!

さて、前置きが長くなりましたが、結論から言うと・・・娘は予選一位通過・24点でした。

曲はモロッコのコンクールからそのまま持って行きました。

バッハ シンフォニア10番

ドュセック ソナチネ

バルトーク バガテル

ドビュッシー 亜麻色の髪の乙女

 

本番の録画は禁止なので練習室での演奏風景。ちょっと悲しそうだったのでどうしたのか後で聞いたところ、本番用のピアノと練習室のピアノの音が全然違って嫌だったからだと言っていましたが、さすがに本番直前でピリピリしていたのだと思います。

本番。

本人の実力を出し切れたと思います。

特にドビュッシーは研ぎ澄まされた繊細な演奏で本番の緊張感が良い方向に作用した感じでした。

バッハは、堂々とした構築感を出す事をレッスンで指導されていましたが、本番ではちょっと迫力に欠ける感じ。

ドュセックは、幸せな雰囲気が良く出ていた良い演奏でした。

バルトークは、(私が)現代曲が苦手でどんな演奏が良い演奏か分からないので割愛。

ヨーロッパのコンクール初挑戦としては、高評価をいただいたと思い先生も喜んでくださっていますが、本人は、「1点減点」というのが悔しかった様子。
(25点満点の1点の差は100点満点の4点ですから、1点差は結構大きいです。)

 

本人「あの金髪の子に負けた・・・・ママ、予選でも受賞コンサートがあるってどうして教えてくれなかったの?コンサートで弾けるって分かっていたらもっと頑張ったのに」

私「え?そんなの関係あるの?(というか、もっと頑張れたの?)」

本人「ある。コンサートで弾きたかった・・・なんでマイナス1点されたんだと思う?」

私「(マイナス1と言うか、24点は立派な成績だと思うけれど・・・)さあ・・・十分高評価いただいたと思うし、小宮先生に伺った方が良いと思うけれど、ママの印象だと、あなたはやっぱりまだ体も小さいし音も小粒なのよね。あとはバッハのミス(全体への影響は殆どなかったので、関係なかったかも)じゃない?」

本人「本選いつだっけ?」

私「三月」

本人「三月もあの子出てくるんだよね?私頑張る!」

 

・・・・努力の方向が違うんじゃないかと思うのですが、「あの子」というのは、演奏姿が非常に魅力的な女の子で、ショパンのノクターンと革命、スカルラッティを弾き、満点で予選通過した子です。

おそらく、12歳に近い11歳で体格は殆ど大人、腕の筋肉もピアニスト、舞台姿も堂々として美しかったです。もし5歳から弾いているとしたら、ピアノ歴が6、7年あるということ。

娘はドイツではかなり小柄な10歳半、ピアノ歴も3年半。

「あの子」が大きなコンサートホールの端まで音が届くラフマニノフ型の演奏だとしたら、娘はもっと時代を遡ったサロンコンサート型の演奏。

 

体格も筋力も経験値も、今の娘の練習量で「あの子」に追いつくには数年は必要だと思うので、今のところは音楽性、繊細さ、音の美しさなど本人の持ち味で勝負したほうがいいと思うのですが、「かわいい子に負けた」のが悔しかった様です・・・・女子ですね・・・。

 

今回、娘の演奏が終わってから結果発表まで時間があったので、先生に勧められて残りの子供達全員の演奏を聴きましたが、非常に個性豊かで面白かったです。

  • ピアノと一緒に生まれてきたのではないかと思うくらいピアノが好きで堪らない印象の子。手がピアノと一体化して見えました。荒削りだけれど魅力的。(予選通過)
  • 弾いていない時は地味なのに舞台に立つと美しいオーラが立ち、音楽も細かく聴くとちょっと雑なところもあるのに全体として聴かせる。見た目も含めて聴衆を引き込む力が強い子。(予選通過)
  • 大勢で来て、大騒ぎで親は感涙していたけれど、演奏は自己満足。曲の選択もかなり???な子(落選)
  • 超スローな熊ん蜂を弾いて最後崩壊した子(落選)
  • ピアノ大好きな気持ちがあふれていて、演奏もところどころ良いなあ・・・と感じたけれど、難しいところになるとテンポが遅くなったりして、日本人の感覚から言うと準備不足な子(落選)
  • ものすごく上手い!と思わせるテクニックと安定感。練習もかなりしていそうな子。古典は良かったけれど、ロマン派の曲がちょっと退屈かなあと思った子。(予選通過)
  • 親に弾かされているのかなあ・・・という印象の神経質な女の子。(落選)
  • 全体的に、古典、バッハがきちんと弾ける子が予選通過していた。(現代曲は、審査員の先生も知らない曲も結構あったようで、楽譜を見る方に集中されていた印象)

 

審査発表では各自の点数が発表されますが、上記の感想と審査結果を合わせると、

  • 曲の難易度はソナチネアルバムレベルで十分。
  • テクニック、安定感が非常に高ければ通過はできるけれど、高評価は出ない。魅きつける力や音楽性、可能性を重視。

 

娘の演奏に対する講評

 

「あなたの演奏はとても音楽的で感動したわ。すばらしかった。この調子でピアノを続けていってね!」

「あなたは、きっと頭の中身のほうが体よりも発達しているのよねえ。あなたの演奏はすばらしかったけれど、一つだけ何か言うとしたら・・・指先の訓練かしら。」
「ドビュッシーについてどう思う?」

「ドュセックの組み立て方がすごく良かったわね〜静かなところからわーっと盛り上がる感じ。素敵だったわ〜」

「どうして椅子をあんなに低くして弾いたの?」

 

というお話をいただきましたが、娘ほぼ無言で固まっているのみ・・・代わりに先生と私が答えましたが、ドイツでは自主性、積極性が評価されるという事なので、次回からは自分で答えて欲しいところ・・・

娘に

「なんで答えなかったの?」

と聞いたところ

「ママ、だってドビュッシーについてどう思うって聞かれたら、面白い髪型のおじさんだなあって思いますって答えれば良いの?」

だそう・・・・。

 

もちろん、審査員の先生方も十分理解されていると思いますが、娘の年齢の場合、それぞれの子供にあった曲選びも、楽譜の解釈も、先生のお力。でも、本人に対して「『あなたの』弾き方がとても良かったわ」と褒めて下さるのはとても良い事だなあと思いました。

先生の素敵さについては、これまでも過去の記事に散々書いたので、繰り返しませんが、本当に娘は幸せ者だなあと思います。

他の子供達の演奏を聞いていて、インベンション1番やソナチネアルバムの曲など、娘が過去に弾いた事がある曲の場合、先生によってこんなに教え方が違うものか・・・・と思いました。


コンクール予選前も、予選通過後も、練習は一日2時間のみ。

先生は娘に練習しなさいと仰った事はありません・・・

レッスンがある日は、レッスン時間をマイナスした時間しか弾かないという徹底ぶり・・・

本番前の練習室待機中も、ピアノが二台もあるのに

全曲、大切に一回ずつ弾き、ほんの少しアドバイスされただけであとはのんびりチョコレートを食べ、先生と雑談してゆったり。

三月の本選の方が基準は厳しいらしいのでどんな結果になるかわかりませんが、本人は燃えているので(笑)楽しみです。

しかしながら、付き合う親の方も大変なので、もうちょっと練習しないかしら・・・。

「もうちょっと練習したくならないの?」

「2時間以上集中できない」

「せめて、楽譜見て研究する時間とかは、別にして数えたら?」

(今の彼女の「2時間」には、ピアノの前でぼーっとしている時間やお茶を入れる時間、楽譜を見て考える時間も含まれるので)

「も〜ママは良いの。ピアノの事は私と小宮先生が分かっているんだから」

だそうです・・・・。


コンクール終了数日後、「授賞式コンサートで演奏してください」というメールがきました。

最高点が取れなかったので本人も周りもすっかり諦めていたのに。

授賞式コンサートの会場はベルリン芸大。

先生の母校です。

前を通りかかるたびに、「中はどうなっているのかなあ。見てみたいなあ」と言っていた娘。

芸大のコンサートホールで演奏できることももちろんですが、練習室に入れることも、なんというかマニアックな喜び(笑)

そして、指定曲は・・・・またもやデュセックのソナチネ・・・・。

私としては、舞台でドビュッシーを弾いて欲しかったのですが、なぜかモロッコのコンクールも今回も審査員の先生の指定はデュセック。

なんだか、娘のテーマソングの様になってきました・・・・

 

当日。

朝9時ぴったりに到着すると、守衛のおじさんしか居ません・・・・。

メールに「9時から」って書いてあったのに。

しばらく待っていると、コンクールの審査員の先生がいらっしゃったので一緒にホールに上がりました。

一応、リハーサルの順番は決まっていたのに、娘が一番乗りだったので、「弾きたい?じゃあ今弾いていいわよ〜」と言われ、ホールに入ります。

美しいスタインウェイ。

照明や音響を直しながらなので、ピアノの周りは明るくなったり暗くなったり。

2回くらい弾いて「もう良いんだけど」というので「せっかく良いピアノだからもったいないから他の曲も弾いたら?」(貧乏性・・・)というと、バッハも弾いて終了。

印象は、響きが良すぎて、全体に音が濁ってしまっている。

「どうだった?」と聞くと、「鍵盤がツルツルで全然引っかからなくて滑るの」

だそうです。

その後、「練習室使いますか?」と言われたのでお借りしました。

本人も私も、「練習できる」ということよりも、「ベルリン芸大」の練習室に入れることにドキドキ。

両脇にずらりと練習室が並び、様々な楽器の音色が聞こえてきて素敵・・・・

広めの練習室には、ベヒシュタインのグランドピアノが一台と、椅子、鏡がありました。

早速練習するのかと思いきや・・・・娘は鏡に直行。

「ママ、お辞儀はこんな風で良いの?お辞儀したあとは右回りでピアノに向かうの?それとも左回り?」

(・・・どちらでも良いんじゃ。鏡を見るよりピアノを練習したら?)

気がすむまでお辞儀の練習をして、リップを塗り直して、ピアノに向かうものの「ママ・・・・さっきのピアノの方が良い。なんか、このピアノ、クレッシェンドができない。お隣の部屋のピアノの方が良いんじゃない?ほら、聞こえるでしょ?」

「あなたの音だって隣から聴いたら綺麗に聞こえるわよ」

(・・・・本番用のスタインウェイと練習室の古いピアノを比べるものじゃないでしょ)

なんだかんだ言いながら少し弾いた頃に他の子供がきて交代。

リハーサルも練習室も、何時から何時まで、と厳密に決まっている訳ではなくかなり臨機応変でした。

 

本番の演奏は、各カテゴリーにつき1人ずつ。

子供のコンクールなので、リラックスした雰囲気。狭い会場とは言え、ベルリン芸大のホールなのでよく響きます。

娘の前に出てきたのは、ヴァイオリンのデュオ。

最初の一音を聴いただけでものすごく巧い。

うっとり聴き惚れているうちに、娘の出番。

なんとなく私の方が集中できなくて、出来はよくわからないのですが、盛大な拍手をいただいて演奏終了。

(楽器が違うとは言え、直前にあまりにも巧い子がいると、次に弾くのはなかなか難しいなあと思いました・・・その前の子の音楽が頭に残ってしまうのですよね・・・)
さて、次の本番は、3月後半のベルリン本選。

本選は3月23日から26日の間に行われます。

ピアノソロ2の部が何日の何時から開催されるかはまだ分かりません。

23、24は平日ですが・・・学校どうするのでしょうか。

国のコンクールだから、お休みしても良いのでしょうか・・・。

予選、受賞コンサートと続いた上に学校行事も多い月なので本人は結構疲れ気味。さて、どうなることでしょうか・・・・。

私としては、ピアノ歴3年半、モロッコから来たばかりの娘が本選に残っただけでかなり嬉しいです。

が、今回のコンクールで弾いた四曲は、もともと昨年11月のモロッコのコンクールのために準備を始めた曲。

ドビュッシーやデュセックはなんと一年も弾いているので、このコンクールが終わると弾かなくなるのか・・・と思うと寂しい気持ちでいっぱい。

コンクール準備中も、チェルニーは続けて来ましたし、今回のコンクールのために別の曲を練習したりしていましたが(仕上がりが間に合わないので変更)インベンションもソナチネアルバムも途中でストップしています。

インベンションは後7曲、ソナチネアルバムは・・・・まだ3曲しか弾いていません(笑)

3月の本選が終わったら、すぐに見て頂けるようにと言って最近新曲の練習を始めましたが、コンクールの曲のための音楽的な練習が効いているのか、譜読み段階でも以前に比べると美しく弾くようになったような気がします。(気のせいかもしれませんが・・・)

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