現在9歳の娘が、初めて生のオーケストラに触れたのは、6歳の時、パリ・オペラ座のバレエ「レ・シルフィード」を見に行った時でした。バレエの美しさももちろんですが、劇場や舞台の美しさ、オーケストラの音が印象に残った様子でした。
ピアノを習い始めて一年ほどしたころ、ピアニストの演奏を見に行きたいというので、ベルリンで内田光子さんのモーツアルトピアノコンチェルトを聴きに行きました。最初のコンサートが内田光子さんと言うのも贅沢な話ですが、親子で感動。娘もコンサートが好きになり、最近ではヨーロッパへ行く日程が決まったら、娘と一緒にコンサート選びをします。
6歳
レ・シルフィード/パリ・オペラ座
7歳
ジゼル/ロンドン・ロイヤルオペラハウス・マイリンスキーバレエ引っ越し公演
ライオンキング/ロンドン・ミュージカル*
8歳
ゴルドベルグ変奏曲他/コンスタンティン・リフシッツ/コンツェルトハウス/ベルリン
モーツアルト ピアノ協奏曲24番/内田光子/コンチェルトハウス
モーツアルト ドン・ジョバンニ フランクフルト新オペラ座
9歳
モーツアルト 戴冠式ミサ/ザルツブルク大聖堂*
バッハ 無伴奏チェロ組曲/ヨーヨーマ/ザルツブルク祝祭劇場
モーツアルト 魔笛/シュターツカペレ・ベルリン
モーツアルト ピアノ協奏曲20番&ブルックナー交響曲5番/バレンボイム/シュターツカペレ・ベルリン
ラフマニノフピアノ協奏曲2番、モルダウ、新世界より/ガヴリーロフ/ゲヴァントハウス
ウェーバー 魔弾の射手(子供向けオペラ)ライプチヒ*
そのほか、教会で行われるコンサートや学生オーケストラ、ミニコンサートなど色々。
*が付いているものは、下の息子も一緒に行きました。
子供が慣れていない場合は、マチネまたは子供向けオペラが安心。先日、6歳の息子も子供オペラの「魔弾の射手」に連れて行きましたが、お話が男子好みでかなり楽しかったようです。
マチネや子供向け公演は、本当に子供が多いので、夜のピアノのコンサートの様な静寂はありませんが、客席の感動や興奮に包み込まれる感じでこれはこれで面白いです。
おそらく演出を少し変えて、笑いを取ったり、演技中に拍手させたりするので、雰囲気はミュージカルに近いです。魔笛の終演後はロックコンサート並みの盛り上がりでした。
子供たちの服装は、「一応ワンピースでおしゃれしてきました」程度。
マチネと並んで子供と行きやすいのが教会のコンサート。ホールのコンサートよりも気軽で、子連れの観光客も結構来ていますし、チケット(10ユーロ、20ユーロ程度)もその場で買えることが多いです。教会内の室内楽や合唱付ミサ曲のコンサートに行きましたが、音響が素晴らしかったです。(室内楽は当たり外れがありました)
夜公演
夜の公演は大抵20時スタートです。「夜のコンサート」と書かれているものは22;30からというものもあります。
毎回、子供を10人程度見かけました。
小さな紳士淑女という雰囲気で、休憩時間の会話などを聞いていると、子供の方が親よりも詳しそう、親は子供の引率のために来ていますという感じの子も居ました。演奏中に「子供がいる」事を感じた事は一度もないので、かなりお行儀が良いのでしょう。
娘連れで行くと、休憩中などによく話しかけられます。
一番多い質問は、「お子さん何歳?」と「何か楽器を演奏するの?」です。
ピアノを習っていますというと、娘に直接「作曲家は誰が好き?」とか「今日のコンサートどうだった?」「お行儀良いね」「何を弾いているの?」
一度だけ「今日の公演は子供には長いんじゃない?」と言われた事があります。「ブルックナー交響曲5番」です。確かに、小さな女の子向けの曲ではないですね。
娘が今まで聴きに行った中で一番面白かったのは魔笛。その次が内田光子さん、ドン・ジョバンニ。内心退屈だったのは、ヨーヨーマの無伴奏チェロ組曲とリフシッツのゴルドベルグ変奏曲。あの長いバッハはまだ早かったです。
- 昼寝と食事:必ず1、2時間昼寝させ、18時頃軽い食事。昼間、疲れさせない日程にする。公演後は興奮して寝ないので、翌朝のスケジュールを緩めに立てておく。
- 帰りの足の確認。(安全に帰れる手段の確保)
- チケットを取ったら、演奏が予定される曲を家でBGMに流すようにする。いろいろな指揮者、奏者の演奏を聴いてから行くと、より面白い様です。知らない作曲家の場合は、その作曲家が作った他の曲を聴いたり、肖像画を見せたり、簡単な音楽の授業的な事も。日本の場合は音楽の時間に習うと思いますが、こちらの場合は学校では習わないので…
オペラの場合はストーリーをあらかじめ説明したり読ませたりする。有名なアリアを何度も聴かせてなじませておく。時間があれば、全幕youtubeで見せておく。 - まだ聴覚よりも視覚なので、できるだけ前の席をとる。娘が特に気に入っているのは、ステージに向かって左側の1から3列目。ピアニストの手元、ペダル、表情、ヴァイオリン奏者が目の前という場所が一番良いそう。
弦楽器のピチカートが綺麗に聞こえますが、FFの時はものすごい勢いで迫ってきたり、他の楽器がよく聞こえなかったり、ピアニッシモが聞こえなかったりしますが、正面10列目などの音が良い席よりも臨場感があって自分のために演奏してくれているような気分になれる席が良いそう。オペラなどでは、全体は見渡しにくいものの、目の前の通路や舞台の端で歌う事もあり、ミーハー的に楽しいです。
オペラやオーケストラの公演となると、気になるのはお値段・・・どんなに素晴らしい公演でも、あまりにも高いと連れて行けません。ベルリンのクラシックは、日本で同じオーケストラやソリストを聞く場合の1/3程度です。
例えばドイツオペラ、モーツアルト「後宮からの誘拐」は31から97ユーロ。
ベルリン国立歌劇場でのピアノのみのリサイタルは15〜56ユーロ
シフ(ピアノ)、バレンボイム(指揮)、国立歌劇場オーケストラで28〜78ユーロ。
子供向けオペラは全席15ユーロ。
その上・・・ほとんどの場合「学生・子供料金」と言う設定があり、どのカテゴリーの席を選んでも30 %〜50%引きになります。
そのまた上に、オペラやバレエは「ファミリーデー」が設けられている事があり、大人は正規料金、子供はなんとどこの席でも10ユーロ・・・・
クラシックを子供に広めるための、劇場側の工夫
「子供料金」や「ファミリーデー」「子供向けオペラ」の公演のほか、家族連れ向けのバックステージツアー、子供向けオペラワークショップ、キッズクラブ、子供の視線が大人と同じようになるための子供用のクッション貸出など、次の世代にクラシック音楽を伝えるための工夫がされています。
日本にも子供向け、ファミリー向けコンサートがありますが、0歳からOKというものなど、未就学時が対象のものが多く、9歳の娘は子供扱いは嫌がるので、大人と同じプログラムを割引で楽しめるドイツの方式はとても助かります。
ベルリンのドイチュ・オペラのHPにはこの様な案内があります。
http://www.deutscheoperberlin.de/en_EN/youth
「学校新聞の記者にオペラの舞台裏を取材させ、リハーサルや本番を見せ、それを記事にさせる」など、面白い試みがたくさん案内されています。
ドイツのコンサートを予約する方法:
<予約サイトから探す>
かなり便利。英語あり。
例えば、Piano concerto no. 20 in D minor, K466 で検索すると、世界中の公演情報が表示されます。
アーティストごと、会場ごとの検索もできます。
アーティスト、ホール、曲目などで調べられるので便利です。ドイツ語ですが、グーグルの自動翻訳をかければなんとなくわかります。
<劇場公式サイトから直接予約する>
「コンサート&カレンダー」のページから簡単に予約ができます。
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団公式サイト。
座席指定はできません(カートに入れた時点で座席番号が表示されます)
ベルリンフィルのホールを使って開催される他社主催の公演も掲載されていますが予約は他社サイトから。
無料のランチコンサートの情報も。カレンダー形式でわかりやすいですが、写真なしで小さく表示されているものの中に良いコンサートがある事もあります。
併設の楽器博物館は素晴らしいので、早めに行って博物館を見学後、コンサートという音楽三昧な過ごし方も素敵。お隣にはソニーセンターという複合施設があり、カフェやレストランも揃っています。
ベルリン国立歌劇場。
ページ右側の月別カレンダーをクリックすると、月別一覧が表示されます。
オペラ、バレエ、オーケストラ、室内楽など。
座席指定ができます。
現在改装工事中。シラー劇場にて上演されます。座席指定ができます。
一度見てみたい、コミックオペラ。HPの写真や動画を見るとモダン&キッチュで面白そうです。
ゲヴァントハウス・ライプチヒ
座席指定ができます。
Oper Leipzig
ライプチヒ・オペラ。子供オペラのチケットもこちらで買えますが、会場は別なので要注意。
座席指定ができます。
フランクフルト・オペラ座。ここでドン・ジョバンニを見ました。舞台の色彩が素晴らしかったです。
フランクフルト・旧オペラ座。美しい劇場。ピアニストのリサイタルが多い。
<ピアニストの公式サイトなどから公演情報を探す>
大抵「スケジュール」「ライブ」「コンサート」などのカテゴリーに今後のコンサート情報が掲載されています。
<<ドイツ&近辺の音楽祭>>