モロッコの伝統2 長い長い名前のお話

うちの子供達はアラビア語の名前です。

普段の生活の中では、呼び捨てなのですが、夫の実家では、長い名前を使う習慣があります。

例えば私の夫の名前は、「アジズ」で、身分証明書の名前は「アブドラアジズ」です。そして、彼は預言者の子孫であると言われているアラブ系の家系(モロッコには沢山居ます)なので、その人々に対する敬称「ムーレイ」が付きます。

ですので、実家での呼び名は

「ムーレイ・アブドラアジズ」で、「アジズ」と呼び捨てにされる事はありません。
意味は、「預言者の子孫でその僕であるアジズさん」です。
私が「アジズ」と発音するのと同じくらいの早口で発音します。

外で呼びかけられる時はもっと長くなります。
「ムーレイ・アブドラアジズ・ウラド・ムーレンバラク」

これを早口で言います。

意味は、「預言者の子孫でその僕であり、預言者の子孫のムバラクの息子のアジズさん」

長いですね・・・。なぜこんなに長いかというと、同じ名前の人(苗字も)が沢山いるので、お父さんの名前を言わないとどこの誰だか分からないからです。この長い長い名前が普通の会話の中にポンポン入ります。

マラケシュでは、ここまで長い名前を呼び合う習慣はありません。
「シェリフアジズ」とか「シ・アジズ」などの別の言い方で省略です。

でも、田舎では常に長い名前。

「長い名前」を呼ぶということには、呼ぶ相手に対する敬意が含まれていますが、お互いに呼び合うわけですから自分たちの文化や風習をリスペクトするという気持ちがあるのでしょう。

面白いことに、アラビア語で話している時は常に「長い名前」を使う人々も、英語で話している時は途端にカジュアルな「アジズ」になる人が多いです。
英語は共同体とは関係ない言語だし、「長い名前」で言っても外国人にはわからないからかと思いますが、夫の実家周辺には、観光関係の人も多いのですが、英語を話している時、洋服の時は現代的な思考、アラビア語、モロッコの民族衣装になると伝統的になる人が多いのも興味深いところです。

 

さて、この「長い名前」の何が困るかというと、うちの子供達も田舎の家族や親族からは長い名前で呼びかけられます。私以外の人々は、自分の子供に呼びかける時も正しい敬称を使います。先ほども書きましたが、この呼び方には相手に対するリスペクトの念だけではなく、その共同体が持つ伝統文化へのリスペクトが含まれているような気がします。

なので、私が短い名前で呼び捨てにしていると、自分の子供のみならず周りの人々へのも失礼な感じになるので、田舎の人前では「長い名前」を使ってみようかなと思うのですが、
自分の息子を「太郎」と呼び捨てにするのではなく

「何とかかんとかの太郎さん」といちいち呼ぶのはちょっと違和感が・・・・というか、私のアラビア語の発音力ではなにを言っているか分からなくなる恐れが。

会話ですから、
A「昨日太郎は花子に***と言って喧嘩になりました」

B「昨日、『何とかかんとかの太郎さん』は『三角三角花子さん』に***と言って喧嘩になりました」
と、Aと同じ程度の速さで言わなくてはならないのです。

私のアラビア語だと
C「昨日 太郎、花子 ***言う。喧嘩」
という感じなので道のりは長いです。
Cでも、学校のママ友とのお茶程度まではこなせる上に最近英語ができる人も増えてきているので、これ以上、上達しそうもありません。やはり語学は、勢いのあるときに短期集中で頑張らないとダメですね。

(*)モロッコではモロッコ人の父親の子供は、アラビア語の伝統的な名前しかつけれません。
名前の種類に限りがあるので同じ名前の人がたくさんいます。

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